IBMドキュメントサイトの翻訳
自動翻訳(AI?)まかせは危険かもしれません。
IBMのドキュメンテーションサイトにはほぼ毎日お世話になっています。OSのバージョンや言語をすぐに切り替えられるのはとても便利ですね。オフラインでも閲覧できるので、モバイル不可のデータセンターでも調べ物ができます。とはいえ不満もあります。
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遅い あくまでも感覚的にですが、他のマニュアルサイトに比べて遅い気がしています。時間帯にもよりますが、ページの遷移に数秒待たされる感じです。
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検索が弱い 「タイトルでフィルター処理」は表示数が少ないので「すべてのIBM i 7.x資料タイトルで を検索」します。でも目的のページが見つかることはまれなので、いつもGoogle検索を頼ってしまいます。
検索とは違うのですが、「IBM Documentationの製品」ページで「IBM i」を探しても見つからず、アルファベット1文字の「i」がIBM iドキュメントへのリンクになっています。OSの名前は「IBM i」だった気がしたのですが、本当は「i」だったのかも… AIXやz/OSのように普通の名前がついたOSが心底うらやましいです。
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使いにくい Chrome拡張の「Go Back With Backspace」を入れていますが、バックスペースで前のページに戻れません。ブラウザの「戻る」ボタンか「Alt」+「←」を押す必要があります。
ここまでは余談で、以下がタイトルの内容です。
POSIX関数の仕様を調べていて、AIXのドキュメント 「fseek、fseeko、(中略) fsetpos、または fsetpos64 サブルーチン」というページにたどり着きました。ここの翻訳が…なんというか…独創的?
次のような日本語の文章がありました。
シーク、 フゼーコ、 fseeko64 、および 巻き戻し サブルーチンは、
アンガ および ウンジェットウック サブルーチンの影響を取り消し、
同じストリーム上のファイルの終わり (EOF) 標識をクリアします。
「シーク」はseek()かな? 「フゼーコ」?? 「巻き戻し」はrewind()だろう。「アンガ」??? 「ウンジェットウック」????
仕方なく英語版を見て意味が分かりました。
The fseek, fseeko, fseeko64 and rewind subroutines undo
any effects of the ungetc and ungetwc subroutines and
clear the end-of-file (EOF) indicator on the same stream.
同じ英文をGoogle翻訳するとそれなりに良い感じの日本語になります。
fseek、fseeko、fseeko64、および rewind サブルーチンは、
ungetc および ungetwc サブルーチンの影響を取り消し、
同じストリーム上のファイルの終わり (EOF) インジケータを
クリアします。
ページ上左の👎に日本語で「翻訳がおかしいですよ」とフィードバックしたので改善されると良いですね。
今回はたまたまAIX関連のドキュメントですが、昔(20年くらい前?)はAS/400関連でも超訳がありました。CLコマンドが次のように翻訳されていたことがあり、すぐに修正されました。
- DOFOR → 「実行目的」
- DOUNTIL → 「実行期限」
- DOWHILE → 「実行期間」
- ENDSELECT → 「選択の終了」
- LEAVE → 「そのまま」
- OTHERWISE → 「そうでない場合」
- WHEN → 「いつ」
最近話題のLLM(Large Language Model)もそうですが、トレーニングの量と質が自動翻訳(AI)の能力や精度 を大きく左右します。AIXドキュメントの例はC関数のボキャブラリーがうまく取り込めていなかったのかも知れません。
同じ言語を母国語にする人間同士でも意思疎通が難しいことがあるので、OpenAIのリアルタイム翻訳などが一般化したときにどうなるか、期待とともに一抹の不安も感じてしまいます。