IBM i 7.5の最大の強化点はベース・セキュリティ(だと思う)

「バージョンアップ影響調査ワークシート」を更新するため「媒体資料説明書 (Memo to Users)」の変更点をひととおり読んで感じたのは、OS全般にわたる基本セキュリティーの見直しと強化です。これはユーザー・サーベイでセキュリティーに対する関心が高い事に応えているのかもしれません。

例えば、次のような変更があります。

  • 重要:IBM i 7.5 では、11111111(8 個の1)ID、22222222(8 個の2)保守ツールのユーザーID は削除されました。 現行接続でこれらの保守ツール・ユーザー ID が使用されている場合、インストール・アップグレードでは、QSECOFR ID(デフォルトパスワードがQSECOFR)の入力と使用が必要です。
  • セキュリティー・システム値の変更
    • システム・セキュリティー・レベル (QSECURITY ) システム値を値 20 に設定できなくなりました。 システムのセキュリティレベルが20 である場合、それは変更されません。 ただし、セキュリティレベルを別の値に変更した場合は、セキュリティレベルを20 に戻すことはできません。
    • サーバーセキュリティデータを保持する(QRETSVRSEC)システム値は廃止されました。
  • 多くのIBM提供オブジェクトの *PUBLIC 権限が *CHANGE または *ALL から *USE に変更されました。 2 次言語ライブラリー (QSYS29xx) にも存在するオブジェクトの場合は、それらのライブラリー内のオブジェクトに対する *PUBLIC 権限も変更されます。

海外の記事でも、7.5に行われたセキュリティーの強化について解説しています。

セキュリティーについて昔からお客様に助言しているのですが、次の2点はなかなか改善されません。

  • システム値QSECURITYが20のまま ⇒ 40にしましょう。資源機密保護には「ライブラリーレベルで権限リストを設定する」などのパターンがあります。詳細は「IBM i セキュリティーについて」などを参照
  • ホスト・サーバーやTCP/IPサーバーのセキュリティー設定が出荷時のまま ⇒ 不要なサービスを停止し、必要なサーバー機能にはFunction Usage/出口プログラムを適用しましょう

「QSECURITYが20でもLMTCPBを指定して5250のユーザーメニューしか出さないので問題ない」と認識している場合は、「Do You Know What End Users Can Do with IBM i Access Client Solutions (エンドユーザーがIBM i Accessクライアントソリューションで何ができるか知っていますか?)」や、「iSeriesのセキュリティ: よくある5つの誤解」を一読ください。セキュリティーの重要性は言を俟たないので、地道に改善を訴えたいです。

📌 多くのLinuxディストリビューションなど、他のサーバーではデフォルト(インストール直後)ではtelnetやftpなどのほとんどのTCP/IPサービスが非起動です。これらと比較し、IBM i はセキュリティが甘いという見方もあるかもしれませんが、EOUを重視する観点から個人的には許容範囲と思っています。